終止形
おしながき
終止形(カデンツ)
あるコードから安定したコードへ解決すること、
コード進行の動きをまとめる決まった型、
コード進行の最小単位、
これらのことを「終止形(カデンツ、ケーデンスとも言う)」という。
終止形は大きく
・D → T(ドミナント終止、ドミナントモーション)
・SD → T(サブドミナント終止)
・SD → D (→ T)(サブドミナント-ドミナント終止)
の、3つのパターンに分けられる。
ドミナント終止
Ⅴ7 → Ⅰ などが、これにあたり
最も強い終止感をもつことが特徴で、曲中・曲間の至る所で使用される。
D → Ⅰ を「全終止」(さらに、完全・不完全終止に分けられる。後述)、
D → トニック代理「偽終止」という。
偽終止は、聴衆が期待する Ⅰ への解決を裏切る弱い解決で、
本来楽曲が終わるタイミングで使用し、
もう少し楽曲を続けたいような場面で使用される。
例)
音楽の授業の挨拶「全終止」
起立(C、Ⅰ )→礼(G7、Ⅴ7 )→着席(C、Ⅰ )
王道進行「偽終止」
|F△7 G7 |Em7 Am |
(Ⅳ△7 Ⅴ7 Ⅲm7 Ⅵm )
余談
この強い終止感には3つの理由がある。
- トライトーンを含むため
M3 - m7間の増4度(トライトーン)が非常に不安定な響きなため
2. 二音が半音上昇 or 下降でトニックに着地するためCメジャースケールを例にすると、
C△7(Ⅰ△7 )の構成音は、C、E、G、B
G7(Ⅴ7 )は、G、B、D、Fとなる。ここで、G7中の
Fが半音下がるとE、
Bが半音上がるとC、となりC△7の構成音と一致する。このため、ドミナントはトニックへと解決しやすい。
3. 根音の完全5度下(完全4度上)への進行根音が完全5度下(完全4度上)に解決する進行は
セブンスコードの有無に関わらず力強い動きをもつ。
これを「強進行」という。
有名な「ツー・ファイブ」はこれにあたる。
サブドミナント終止
Ⅳ△7 → I など。
ドミナント終止より、終止感は弱いが変化が加わりシャレオツ。
S → T を「変終止(変格終止)」という。
S(Ⅳ)の前は、全終止や変終止が置かれることが多く、
賛美歌などの古典音楽では、完全終止の後に変終止がよく置かれ、
これを「アーメン終止」などともいう。
Ⅳ (SD)→ Ⅳm(SDm) → Ⅰ (T)という形も頻用される。
この場合のⅣm は、
長調における同主短調(キーは同じだけど短調になったもの)の
ダイアトニックコードである Ⅳm を借りたもの(準固有和音という)。
例)
let it be / Beatles Aメロ終わり「変終止」
|C G |Am F |C G |F C |
(Ⅰ Ⅴ Ⅵm Ⅳ Ⅰ Ⅴ Ⅳ Ⅰ )
In my life / Beatles Aメロ「サブドミナントマイナー」
|A E |F#m A7 |D Dm |A |
(Ⅰ Ⅴ Ⅵm Ⅰ7 Ⅳ Ⅳm Ⅰ )
サブドミナント - ドミナント終止
Ⅳ△7 → Ⅴ7 (→ Ⅰ) などがこれに当たる。
とくに、Ⅳ△7(SD) → Ⅴ7(D) のことを「半終止」という。
Ⅴ7は安定しない響きなので、
一旦Ⅴ7で曲を区切ってその後に T などを伴って、主に曲間などに用いられる。
例)
ひこうき雲 / 荒井由実 Aメロ終わり
|E♭ E♭/ D |Gm7 |A♭ A♭/ G |Fm |
(Ⅰ Ⅰ / Ⅶ Ⅲm7 Ⅳ Ⅳ/ Ⅲ Ⅱm|B♭ B♭/ A♭ |Gm7 |A♭△7 |B♭7 |
Ⅴ Ⅴ / Ⅳ Ⅲm7 Ⅳ△7 Ⅴ7 )
まとめ
- ドミナント終止
基本形は Ⅴ7 → Tだよ。
TがⅠの時「全終止」、代理の時「偽終止」というよ。
最も強い終止感があるよ。
- サブドミナント終止
基本形は SD → T で「変終止」というよ。
終止感がドミナント終止よりも弱いよ。
SD → SDm → T という形もよく使われるよ。
この場合の SDm は同主調の Ⅳm が多く、この和音を準固有和音と言うよ。
- 図にまとめるとこんな感じだよ。
おわり
こういう時に様々な曲で参考になる Beatles は
ほんと音楽の教科書みたいなバンドだったんだなぁ、と再認識する。
わりと雑にまとめたから、いろいろ怪しいとこが多い。