副次属和音:セカンダリードミナント

おしながき




ダイアトニックコードのそれぞれの和音の機能や、
終止形について見てきたけど、まだまだ引き出しを増やしたーい。

というわけで、セカンダリードミナントのアレを見ていく。



副次属和音:セカンダリードミナント


Ⅴのことをドミナントと言い、
T(トニック)へ解決しやすい和音であると見てきた。


ここで、
ダイアトニックコードの他のコードを仮にⅠの和音として、
それに対する仮のⅤから進行させることで、
ドミナント終止をとることができる。

この仮のⅤを「副次属和音:セカンダリードミナント」という。


例えば、
キーがCメジャーのとき、
Dm7(本来はⅡm7)を仮のⅠとすると、
それに対する仮のⅤ7は A7(本来はⅥ7)となる。

有名な、
下の ” ワン・シックス・ツー・ファイブ ” 進行に
|C△7 Am7 |Dm7 G7 |
(Ⅰ△7 Ⅵm7  Ⅱm7 Ⅴ7 )

このセカンダリードミナントを組み込むと、以下になる。
|C△7 A7 |Dm7 G7 |
(Ⅰ△7 Ⅵ7  Ⅱm7 Ⅴ7 )


もちろん、
このセカンダリードミナントは、
構成音にダイアトニックスケール上にない音を持つ
ノンダイアトニックコードとなり、

これをうまく使い、
緊張感のあるノンダイアトニックコードから
安定したダイアトニックコードへ解決することで
単調になりがちなコード進行に変化を加えることができる。


また、
仮でⅤ7→Ⅰ のドミナント終止をとっているため、
仮のⅠのキーに一時的に転調してるところが特徴的で、

上の例だと、
Dm7を仮のⅠと置いてるため、一時的にDマイナーに転調してるといえる。

つまり、A7は
Cメジャーではノンダイアトニックコード(Ⅱ7)だけど、
Dマイナーのダイアトニックコード(V7)ということ。

セカンダリードミナントがセブンスじゃなくても
ドミナント終始となるが、
セブンスのほうが T へ解決したがるので、
主にⅤ7として使われる。


セカンダリードミナントの要件は以下。

  • 根音がダイアトニックスケール上にあること
  • 元のキーの完全4度上(完全5度下)のダイアトニックコードに解決すること

メジャーキー上のセカンダリードミナントは、
Ⅰ7、Ⅱ7、Ⅲ7、Ⅵ7、Ⅶ7の5つ。

それぞれ、
Ⅰ7 → Ⅳ△7
Ⅱ7 → Ⅴ7
Ⅲ7 → Ⅵm7
Ⅵ7 → Ⅱm7
Ⅶ7 → Ⅲm7 へと解決する。


マイナーキー上のセカンダリードミナントは、
Ⅰ7、Ⅱ7、Ⅲ7、♭Ⅳ7、♭Ⅶ7の5つ。

それぞれ、
Ⅰ7 → Ⅳm7
Ⅱ7 → Ⅴ7
Ⅲ7 → ♭Ⅵ△7
♭Ⅳ7 → ♭Ⅶ7
♭Ⅶ7 → ♭Ⅲ△7 へと解決する。


余談

「メジャーキーのⅣ7とⅤ7がセカンダリードミナントじゃないのは何故?」

それはね、
Ⅳ7は完全4度上がダイアトニックコードじゃないから。
例えば、
Cメジャーだと、
F(Ⅳ)の完全4度上はB♭(♭Ⅶ)になってしまう。

Ⅴ7はそもそも(第1の)ドミナントだから。
プライマリドミナントとか言うのかな?やだ、かっこいい…
マイナーキーのⅤ7とⅥ7も同じ理由。


ダブルドミナント


Ⅱ7は、Ⅴ7(ドミナント)のセカンダリードミナント
つまり、「ドミナントドミナント」となっており、
とくに「ダブルドミナント(英)」とか「ドッペルドミナント(独)」という。

このダブルドミナントからドミナントの進行は
他のセカンダリードミナントに見られる
トライトーンの解決が見られないので、
不安定なままⅡ7 → Ⅴ7 と進行していき、
安定した T に解決するという動きをとる。


セカンダリードミナントに対する
ダブルドミナントをとることも可能で、

” ワン・シックス・ツー・ファイブ ” 進行の使ってみると
|C△7 Am7 |Dm7 G7 |
(Ⅰ△7 Ⅵm7  Ⅱm7 Ⅴ7 )

セカンダリードミナントを入れると、
|C△7 E7 Am7 A7 |Dm7 D7 G7 |
(Ⅰ△7 Ⅲ7 Ⅵm7 Ⅵ7  Ⅱm7 Ⅱ7 Ⅴ7 )

セカンダリードミナントダブルドミナントを入れると、
|C△7 B7 E7 Am7 E7 A7 |Dm7 A7 D7 G7 |
(Ⅰ△7 Ⅶ7 Ⅲ7 Ⅵm7 Ⅲ7 Ⅵ7  Ⅱm7 Ⅵ7 Ⅱ7 Ⅴ7 )

… みたいに、ずーっとコードを増やしていける。

もちろん、
セカンダリードミナントは一時的に転調させるので、
ここまでやると調性(キーがCメジャーだな、っていう感覚)が崩れるので、
やり過ぎはアレだけど、
コードのレパートリーを増やすことができる。



次から何についてまとめよう。
少し前に勉強した時のノートがだいたいここらへんまでなんだよなぁ。
具体的に曲を分析していこうかな。

終止形

おしながき



終止形(カデンツ

あるコードから安定したコードへ解決すること、
コード進行の動きをまとめる決まった型、
コード進行の最小単位、

これらのことを「終止形(カデンツ、ケーデンスとも言う)」という。

終止形は大きく

・D → T(ドミナント終止、ドミナントモーション)
・SD → T(サブドミナント終止)
・SD → D (→ T)(サブドミナント-ドミナント終止)

の、3つのパターンに分けられる。



ドミナント終止


  • Ⅴ7 → Ⅰ などが、これにあたり
    最も強い終止感をもつことが特徴で、曲中・曲間の至る所で使用される。

  • D → Ⅰ を「全終止」(さらに、完全・不完全終止に分けられる。後述)、
    D → トニック代理「偽終止」という。

  • 偽終止は、聴衆が期待する Ⅰ への解決を裏切る弱い解決で、
    本来楽曲が終わるタイミングで使用し、
    もう少し楽曲を続けたいような場面で使用される。


例)

  • 音楽の授業の挨拶「全終止
    起立(C、Ⅰ )→礼(G7、Ⅴ7 )→着席(C、Ⅰ )

  • 王道進行「偽終止
    |F△7 G7 |Em7 Am |
    (Ⅳ△7 Ⅴ7  Ⅲm7 Ⅵm )


余談

この強い終止感には3つの理由がある。

  1. トライトーンを含むため

M3 - m7間の増4度(トライトーン)が非常に不安定な響きなため


2. 二音が半音上昇 or 下降でトニックに着地するため

Cメジャースケールを例にすると、
C△7(Ⅰ△7 )の構成音は、C、E、G、B
G7(Ⅴ7 )は、G、B、D、Fとなる。

ここで、G7中の
Fが半音下がるとE、
Bが半音上がるとC、となりC△7の構成音と一致する。

このため、ドミナントはトニックへと解決しやすい。


3. 根音の完全5度下(完全4度上)への進行

根音が完全5度下(完全4度上)に解決する進行は
セブンスコードの有無に関わらず力強い動きをもつ。
これを「強進行」という。
有名な「ツー・ファイブ」はこれにあたる。




サブドミナント終止


  • Ⅳ△7 → I など。
    ドミナント終止より、終止感は弱いが変化が加わりシャレオツ。

  • S → T を「変終止(変格終止)」という。
    S(Ⅳ)の前は、全終止や変終止が置かれることが多く、
    賛美歌などの古典音楽では、完全終止の後に変終止がよく置かれ、
    これを「アーメン終止」などともいう。

  • Ⅳ (SD)→ Ⅳm(SDm) → Ⅰ (T)という形も頻用される。

    この場合のⅣm は、
    長調における同主短調(キーは同じだけど短調になったもの)の
    ダイアトニックコードである Ⅳm を借りたもの(準固有和音という)。


例)

  • let it be / Beatles Aメロ終わり「変終止
    |C G |Am F |C G |F C |
    (Ⅰ Ⅴ  Ⅵm Ⅳ  Ⅰ Ⅴ  Ⅳ Ⅰ )

  • In my life / Beatles Aメロ「サブドミナントマイナー
    |A E |F#m A7 |D Dm |A   |
    (Ⅰ Ⅴ  Ⅵm  Ⅰ7  Ⅳ Ⅳm  Ⅰ   )



サブドミナント - ドミナント終止


  • Ⅳ△7 → Ⅴ7 (→ Ⅰ) などがこれに当たる。

  • とくに、Ⅳ△7(SD) → Ⅴ7(D) のことを「半終止」という。
    Ⅴ7は安定しない響きなので、
    一旦Ⅴ7で曲を区切ってその後に T などを伴って、主に曲間などに用いられる。


例)

  • ひこうき雲 / 荒井由実 Aメロ終わり
    |E♭ E♭/ D  |Gm7   |A♭ A♭/ G |Fm   |
    (Ⅰ  Ⅰ / Ⅶ  Ⅲm7    Ⅳ  Ⅳ/ Ⅲ  Ⅱm   

    |B♭ B♭/ A♭ |Gm7   |A♭△7     |B♭7   |
     Ⅴ  Ⅴ / Ⅳ  Ⅲm7    Ⅳ△7      Ⅴ7    )





まとめ



  • ドミナント終止
    基本形は Ⅴ7 → Tだよ。
    TがⅠの時「全終止」、代理の時「偽終止」というよ。

    最も強い終止感があるよ。


  • サブドミナント終止
    基本形は SD → T で「変終止」というよ。
    終止感がドミナント終止よりも弱いよ。

    SD → SDm → T という形もよく使われるよ。
    この場合の SDm は同主調の Ⅳm が多く、この和音を準固有和音と言うよ。


  • サブドミナント - ドミナント終止
    基本形は SD → D (→ T )で、「半終止」というよ。

    終止感はないので、曲間の繋ぎなどに使われるよ。


  • 図にまとめるとこんな感じだよ。

    f:id:naokichi1006:20170309093857j:plain

おわり




こういう時に様々な曲で参考になる Beatles
ほんと音楽の教科書みたいなバンドだったんだなぁ、と再認識する。

わりと雑にまとめたから、いろいろ怪しいとこが多い。

春の自由研究 追補

おしながき


前置き

以前、春の自由研究
なにやら七面倒くさい計算をして、
ロングスケール、ミディアムスケールについて
各チューニングにおける各弦のテンションを計算しましたが、


表作ってから、
ドロップチューニング用の弦が発売されていること思い出して、
勘弁カンベンカンボジアと心で叫んだ。
誰かそれで作り直してください。お願いします。


と、嘆いていたのをお覚えでしょうか。
そんなわけで、追補です。

前の記事書き終わって、
これはかなりイケてる記事だろ、と思ってニヤニヤしてたけど、
思ったより反応無くて、
(え… ダウンチューニングそんなに需要ないの?…)
と思って悲しみに暮れたから、追補して押し付けていくスタイル。



計算方法


前の記事と同じ。

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↑これを、こうじゃ↓

f:id:naokichi1006:20170305024722j:plain

簡単に言うと、
D'Addario 海外公式サイトに公開されている
各ゲージのレギュラーチューニングのテンション( s )を参考にし、

このテンションに
ダウンチューニング( fn )と
レギュラーチューニング( fn )の周波数比の2乗を乗じて、
ダウンチューニング時のテンション( s’ )を求める。


で、このサイトに乗ってるテンションは、
”おそらく”ロングスケールでのテンションなので、

下の式で、
ロングスケールの弦長( l1 、648 mm)と
ミディアムスケールの弦長( l2 、628 mm)を使って、
ロングスケールのテンション( s1 )を
ミディアムスケールのテンション( s2 )へ補正する。


f:id:naokichi1006:20170305065931j:plain


実際に計算すると、
s2 = 0.939224・s1  となる。


詳しくはココ!(春の自由研究)見てください。
PV稼ぎかよ


ゲージ


今回参考にしたゲージは

  • EXL 140 Light Top/Heavy Bottom(0.010〜0.052)
  • EXL 145 Heavy(0.012〜0.054)
  • EXL 148 Extra Heavy(0.012〜0.060)

の、3つです。

ええ、3つだけです。
ホントはもっとたくさんドロップチューニング向けのゲージが
ありそうだけど、

計算は Excel 先生がやってくれるとは言え、
計算のための数値打ち込むのとか、良さげな表作るのとか、
大変ですし。

あと、
常識的なダウンチューニングなら
これより太い弦張ることなんて無いっしょ、みたいなアレ。


ちなみに、
EXL 148 Extra Heavy は公式サイトのテンションが
全弦2音下げ(C、F、A#、D#、G、C)で計測したものだったから、
あんまり意味ないとは思うけど、
逆にチューニング上げたテンションを載せてます。




結果


計算結果は以下。

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なんか、
ドロップしてテンション下がり気味になる 6弦だけ太めにして、
ネック全体にかかるテンションの均一化を図るのかなぁ
と思ってたら、そんなこともなかった。

むしろ、
やけに巻弦のテンションだけ高いなぁと思って調べたら
”ドロップ向け”って公式のアナウンス見つけられなかったんだけど、
どうなんでしょう。


考察・雑感


今回調べたドロップ C + Heavy と、
前回調べたドロップ C + Medium / Blues / Jazz を比較すると、

合計テンションを見るなら、
前回調べた 後者 を使うよりも、前者のほうがレギュラー + Light に近くて
各弦のテンションのばらつきを見るなら、後者のほうがばらつき少なくて良さそう
(計算とかしてないけど)。

つまり、
ストンと落ちるアレは得られなかった、ということです。


各弦のテンションのばらつき、ネック全体にかかる合計テンションの
両者をいい感じにするなら、

計算結果をもとに、
良さげな弦をそれぞれチョイスして組み合わせるしかないのかなぁ。


そもそもとして、
各弦のテンションを最適化したEXL シリーズ以外、
テンションのばらつきがそれなりにあると思うんだけど、

そんなにココはシビアに考えなくても良いことなのでしょうか。
それとも、
ある程度のばらつきならネックには大きな影響はないのでしょうか
トラスロッドに捻じれに対するアレなさそうだけど)。

よくわからないので、ここらへんに対する解答になるような
ドロップ C 向けの良さげなやつを Elixir さん是非出してください。
その前に、各ゲージのテンション教えてくださいお願いします。


参考


D'Addario XL Nickel Round Wound


こう数値で見ちゃうと
レギュラーを中心に世界が回っているから、ゲージもそれ向けになっていて、
ドロップさせると歪になるのは致し方ないよね。
ただ、それでもドロップ きみを愛している。

あと、
計算方法や考察に自信がないから、この追補見て何かしら誰かが批判的な吟味してくれると嬉しげ。

春の自由研究

おしながき


今回はちゃんと音楽の話。
ただ、非常にニッチな話。
嫌なら見るな!嫌なら見るな!


前置き


ドロップチューニングが好きです。

家にあるレスポール
ほぼ常にドロップC(まれにドロップC#)になっております。


聴いている音楽の影響はご多分にあるのだろうとは思うのですが、

それ以上に、 パワーコードを指1本で押さえられるところや、
4〜6弦開放の音がグワーンと唸る感じ(頭悪そうな物言い)が
たまらなく好きなのです。


さらに、レスポールの、
太い歪んだ音や華美すぎないクリーンの音、
官能的な曲線美と、それでいてロックアイコンとしての端正なかっこよさ

そうした理由から、
レスポール以外を弾く気があんまりしないのですが、
困ったことに、他のギター(ストラトキャスターとか)より弦の長さが短いゆえ、
チューニングを下げるのに向いている、とは言えないのです。


加えて、 レスポールに限らず、弦の張力が弱いのは
ネックの反りや、弦のビビり(なんかブイーンってなるやつ 頭悪)、
音程が安定しないこと、など
色々気にかけなければならないことが多くて、

かと言って、張力を稼ぐために弦を太くしすぎては、
あの少し弛んだ甘いトーンを得られないジレンマに陥るわけです。


逆に言えば、
チューニング、弦の太さ(ゲージ)、弦の張力(テンション)
この3つの関係性を見ていき、

さらに、
弦の長さ(スケール)についても考慮したうえで、

各弦のテンション、ネック全体にかかるテンションを
一般的なゲージを張ったレギュラーチューニングと同等
あるいは、少し緩いくらいにすることができれば、
一つの妥協点にできるわけであります。


というわけで、
チューニング、ゲージ、テンションの関係を
実際に計算して検証してみました。


自由研究にふさわしい少しお勉強的なアレです。
あと、前置き特有のこの変な話し方もやめます。


<要約>

チューニング下げるの好きだけど、
ただ闇雲に弦がダルダルなのも頭悪そうだし、
ネックの反りとか気になる点も多い。

でも、太すぎる弦張るのも何か違う、っていう感もある。

じゃあ、
レギュラーで張った時と同じ、あるいはそれより少し緩み気味の
いい感じのテンションにするには、どの程度のゲージを使えばいいか

弦・ネックにかかる張力とかいろいろ考慮して妥協点を考えるよ。


余談 チューニング概論

  • レギュラーチューニング
    5弦Aの音を 110 Hz として、
    6弦から E、A、D、G、B、E としたチューニング
    (「家でじーちゃん、ばーちゃんイイ事してる」と覚えよう)。

  • ダウンチューニング
    レギュラーチューニングより音を下げるチューニングの総称
    (という認識でいるけど、明確な定義は謎なアレ)。

  • 〜トーンダウンチューニング
    レギュラーチューニングから
    ホールトーン(1音下げ、つまり D、G、C、F、A、D)とか、
    ハーフトーン(半音下げ、つまり D#、G#、C#、F#、A#、D#)とか、
    下げたチューニング。
    後者はハーフステップダウン〜とかハーフダウン〜とも言う。

  • ドロップチューニング
    レギュラー〜の 6弦を D に変えたものをドロップ D 、
    ハーフトーンダウン〜の 6弦を C# に変えたものをドロップ C#
    ホールトーンダウン〜の 6弦を C に変えたものをドロップ C …など。
    レギュラー〜、ハーフトーンダウン〜、ホールトーンダウンの
    6弦を4弦の1オクターブ下にしたチューニングって感じ。最強


前置き がいなー。


計算方法

ダウンチューニング時のテンションの求め方


弦の振動数 fn(Hz)は、
弦の長さ:l(m)、弦の張力:s(N)、
弦の線密度:ρ (kg / m)、n 倍振動(n = 1 ,2 ,3…)
を用いて下図のように表せられる。

f:id:naokichi1006:20170305034513j:plain

ここで、
同じスケールのギターを使い(つまり、l が同じ)、
各メーカーの弦の線密度に差が無いと仮定する(つまり、ρ が同じ)。

また、
n 倍振動は倍音の周波数のことで、
ここではあくまで実音について見ているので、n = 1とする。

さらに、
レギュラーチューニングの弦の張力を s、振動数をfn
下げたチューニングの弦の張力を s'、振動数をfn‘として、
上図の下式をそれぞれ求めると、

s =4 l 2 ρ fn2
s' =4 l 2 ρ fn2  となる。

この2式から、以下の式を作ることができる。
f:id:naokichi1006:20170305024722j:plain つまり、
ダウンチューニングの張力 s‘ は、
レギュラーチューニングの張力 s を基準として、
チューニングを下げていくごとに、
その振動数の比の2乗( fn’/fn2 に比例して下がっていく、
ということがわかる。


そこで、

  1. レギュラー、ダウンチューニングの各弦の周波数
    (上式の fnfn‘)を求め、

  2. 有名弦メーカー D'Addario の海外公式サイトに公開されている
    各ゲージのテンションを基準( s )とし、

  3. 各ゲージのダウンチューニングのテンション( s‘ )を計算から求めて、

  4. D'Addario のレギュラーチューニングのテンションと同じにするなら、
    チューニングを下げた時にどの程度太いゲージの弦にすればいいかを見ていく。


ミディアムスケールへのテンションの補正


さらに、
D'Addario のサイトに乗っているテンションは、
ロングスケール(式中の l が 648 mm)で計測していると
おそらく思われるので(サイト中に記述なし)、

上の方法で求めた各ゲージのテンションを
レスポールなどに採用されているミディアムスケール( 628 mm )の
テンションに補正する。


1番最初の式において、
ロングスケールの弦の長さを l1 、張力をs1
ミディアムスケールの弦の長さを l2 、張力をs2 とする。

ここで、
チューニングが同じなら、各弦の音程つまり周波数 fn は同じであるので、
以下の式が成り立つ。

f:id:naokichi1006:20170305065931j:plain

実際に、
l1 = 648 mm 、 l2 = 628 mm を代入すると、

s2 = 0.939224・s1  となる。

この式を使って、
ロングスケールで計算したダウンチューニングのテンションを
ミディアムスケールでのテンションへと補正していく。

高校物理の内容なのに、案外 実用的な計算ができることに吃驚。
文系は置いていくスタイルなので、
この記事見終わったら、筆者の私の気持ちを考えてください。



数値


計算に使う数値は以下。

ただ、一応のアレとして羅列しただけなので、
結果だけ気になる人もそうじゃない人も読み飛ばすのがオススメです。
スマホで見る人を◯していくスタイル。

  • それぞれのチューニング時の各弦の振動数は以下の通りとなる。

    • レギュラーチューニング
      1弦E(E4)= 330(Hz)
      2弦B(B3)= 247
      3弦G(G3)= 196
      4弦D(D3)= 147
      5弦A(A2)= 110
      6弦E(E2)= 82

    • ドロップ D チューニング
      1弦E(E4)= 330(Hz)
      2弦B(B3)= 247
      3弦G(G3)= 196
      4弦D(D3)= 147
      5弦A(A2)= 110
      6弦D(D2)= 74

    • ドロップ C# チューニング
      1弦D#(D#4)= 311(Hz)
      2弦A#(A#3)= 233
      3弦F#(F#3)= 185
      4弦C#C#3)= 139
      5弦G#(G#2)= 104
      6弦C#C#2)= 78

    • ドロップ C チューニング
      1弦D(D4)= 294(Hz)
      2弦A(A3)= 220
      3弦F(F3)= 175
      4弦C(C3)= 131
      5弦G(G2)= 98
      6弦C(C2)= 65

  • D'Addario の海外公式サイトから
    EXP STRINGS シリーズの5つのゲージのテンションを計算に使っていく 。

    • Super Light(0.009 - 0.042 inch)
      1弦E(E4)= 5.940(kg)
      2弦B(B3)= 4.990
      3弦G(G3)= 6.670
      4弦D(D3)= 7.170
      5弦A(A2)= 7.170
      6弦E(E2)= 6.710

    • Super Light Top / Regular Bottom(0.009 - 0.046)
      1弦E(E4)= 5.940
      2弦B(B3)= 4.990
      3弦G(G3)= 6.670
      4弦D(D3)= 8.340
      5弦A(A2)= 8.840
      6弦E(E2)= 7.940

    • Light(0.010 - 0.046)
      1弦E(E4)= 7.350
      2弦B(B3)= 6.980
      3弦G(G3)= 7.530
      4弦D(D3)= 8.340
      5弦A(A2)= 8.840
      6弦E(E2)= 7.940

    • Medium / Blues / Jazz(0.011 - 0.049)
      1弦E(E4)= 8.890
      2弦B(B3)= 8.070
      3弦G(G3)= 8.440
      4弦D(D3)= 9.660
      5弦A(A2)= 9.800
      6弦E(E2)= 8.930

    • Light Top / Heavy Bottom(0.010 - 0.052)
      1弦E(E4)= 7.350
      2弦B(B3)= 6.980
      3弦G(G3)= 7.530
      4弦D(D3)= 11.340
      5弦A(A2)= 11.930
      6弦E(E2)= 9.980


    さらに、テンションの最適化がされた(という謳い文句の)
    XL Balanced Tensionシリーズ(EXL シリーズ)についても計算に使っていく
    (こちらは日本サイトで公開)。

    • Balanced Tension Super Light(0.009 - 0.040)
      1弦E(E4)= 5.965
      2弦B(B3)= 5.951
      3弦G(G3)= 5.861
      4弦D(D3)= 6.024
      5弦A(A2)= 6.306
      6弦E(E2)= 5.983

    • Balanced Tension Regular Light(0.010 - 0.046)
      1弦E(E4)= 7.360
      2弦B(B3)= 7.530
      3弦G(G3)= 7.520
      4弦D(D3)= 7.810
      5弦A(A2)= 7.810
      6弦E(E2)= 7.670

    • Balanced Tension Medium(0.011 - 0.050)
      1弦E(E4)= 8.900
      2弦B(B3)= 9.290
      3弦G(G3)= 9.390
      4弦D(D3)= 9.588
      5弦A(A2)= 9.184
      6弦E(E2)= 8.934




結果


ロングスケールでの
チューニングのテンションの計算結果は以下。

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このテンションを、
ミディアムスケールに補正したものが以下。

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表中のテンションの単位について

D'Addario 公式サイトでは、張力の単位は kg になっていたが、
張力はあくまで ”力” なので、"質量" とは異なる。

つまり、
サイト中に記述を見つけられなかったけど、
おそらく、重量キログラム kgf
(1kg の質量が重力加速度の下でうける重力の単位)
のことではないかと考えられる。

一方で、
最初の式で張力 s の単位は N となので、
本来は kgf を N に変換しなければならない。

しかし、
途中式を見ればわかるように、
ダウンチューニングの張力 s'
レギュラーチューニングの張力 s に、
周波数比を乗じればいいだけなので張力の単位は無視でき、

また、
今回は張力の単位に関わらず、あくまで"比較"をしたいだけなので、
公式サイトの数値を単位 kg のまま使用した。





考察


計算結果の使い方としては、

  • 他より下げる6弦は一旦置いといて、
    1〜5弦の各テンションに注目する方法

  • 表中の”合計”に注目して、
    ネック全体にかかるテンションを見る方法

の2つがあると思うけど、

いずれにせよ、
ドロップ C# の場合は、そのまま or テンション上がるけど1つ上、
ドロップ C の場合は、1つ上のゲージに変えるのが良さそう。


逆に自分のセッティングから、
どれくらいのゲージをレギュラーチューニングしたくらいの
テンションなのかを見ていくと、

家で使っているレスポールの弦は
Elixir Medium(D'Addario EXP Medium〜と同じゲージ)で、
ドロップ C なので、ネックにかかる張力としては、
おおむね EXP Super light / Regular Bottom くらいということがわかる。


注意すべきは、
ゲージのラインナップを見ていくと、
弦の太さが比例して太くなっているわけでないので、

どのゲージのテンションと同じにするかは、
一概に、”1つ上のゲージにすれば平気”
と、言えるわけではないということ。


雑感


今回は、
各メーカーから発売されている弦の線密度を同じと仮定したり、
コーティング弦やビブラートユニットなどを考慮してないので、
鵜呑みにできるデータじゃないけど、

ダウンチューニング好きな人には
少しは参考にできるものになったのではないでしょうか(鼻ほじ)。

あと、関係ないけど
EXL シリーズは各弦の張力が一定でネックのねじれとか
無くせそうでいいですね、これ
(コーティング弦以外使う気しないけど)。


まぁ、自分的には
感覚的にやってた Elixir Medium でドロップ C が
セッティングとしてはまぁまぁいい感じ、だという
裏付けができたのでよかったです(考察が下手)。

表作ってから、
ドロップチューニング用の弦が発売されていること思い出して、
勘弁カンベンカンボジアと心で叫んだ。
誰かそれで作り直してください。お願いします。


参考

わかりやすい高校物理の部屋 弦の振動
D'Addario EXP Strings
D'Addario XL Balanced Tension Strings Sets



計算したいだけして、
考察が疎かなのは大学の時からそうだったのだけれど、
あらためてヤバいと感じたのでもっと小説読んで感受性豊かにしよう。

ちなみにこの記事書いているときの筆者の気持ちは、
 (書くこと多くて大変。なんでこんな大仰な記事にしたんだろ…。
  Twitter で簡単な説明だけして結果だけ投下すればよかった )
でした。

閑話

おしながき


たまには、音楽以外のこと書いてもいいよね?
え、ダメ?

ダメと言われても書きまーす。
そして、無駄に長いでーす。
嫌なら見るな!嫌なら見るな!


文房具の沼


文房具という沼の深奥は凄いですよ。

例えば、筆記具一つを取ってみても、
シャープペンシル、ボールペン、万年筆、鉛筆、
多機能ペン(たくさん色書けるやつ)、色ペン、蛍光ペン
このようにたくさん種類があれば、

さらに、それぞれの使用目的が異なるから、
都度、その筆記具に求める要件とか機能とかで、
自分に合った文房具との出会いを求めるわけでありますが、

いたずらに買い漁ってしまう魔力が文房具にはあるのです。


と、言うのも

やれ「手に馴染む」だの、やれ「疲れにくい」だの
やれ「携行性に優れる」だの、やれ「デザインが秀逸」だの…と言って

同じ筆記具だとしても、
長時間持つもの、長期間使いたいもの、
持ち運びたいもの、少し背伸びして所有しておきたいもの… など
さらに細分化された用途としての魅力があり、

それに加えて、 モノにもよりますが、
シャープペンシルなら1,000円も出せば、それなりのものが買えるので
財布の紐が緩みやすい、というのも
その魔力・魅力の一因であると思われます。

もちろん、
万年筆などはこの限りじゃないのですが、
一方で、”それなりにいい万年筆を持っていたい”というのも
人が背負いし深き業なのです。

いずれにせよ、
理想の文房具との出会いを求めるには、沼に沈む度量が必要なわけであります。


今日は、
そんな沼に沈みゆくなかで邂逅した愛すべき文房具たちに
スポットライトを当てたいと思います
(平たく言えば、お気に入り紹介です)

携帯のカメラがウンチだから画質悪いけど、
頑張って写真も撮りました。

あと、この変な口調もやめます。

てか、前置き長げーーーーーーーよ!


筆記具

シャープペンシル

お気に入りは、どちらも製図用シャープペンシル

ぺんてる グラフギア1000 PG1013 0.3mm


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筆ペンや、あの青い入れ物の修正液、
そして、今回紹介する製図用シャープペンシルで有名なぺんてる

・ペン先が細いもの
・なおかつ、芯径のバリエーションに 0.3mm があるもの
・さらに言えば、ある程度の重さがあるもの

以上が、シャープペンシルに求める要件なわけですが、
まさにその全てを満たす最高の1本

… と言うよりも、
これに出会ってしまったがゆえに
この要件満たすもの以外使えなくなってしまった
と、いうのが正しいのかも。

本来は製図用のシャープペンシルなのですが、
中学生に上がる頃に少し背伸びして買って以来、
今もなお、筆箱の中の不動のレギュラーで
全盛期は筆箱に3本入っていたとか、いないとか。


ペン先が細いので書いている線が見易く、
細く折れやすそうなペン先を収納するダブルノック機構もあり、
0.3mm の芯は細かい字や絵を書くときには重宝するし、
かと言って、芯が折れやすいと感じたことも少なく、
また、ある程度の重みがあるので書いている際の安定感も良好
(あとペン回しがやりやすい)

値段は、
メーカー希望小売価格は1,000円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは600円強で購入できる。


総評

“鈍く輝くたしかな重み、紡ぎ出される揺蕩う輝き”

(このクソダサキャッチコピーのネタがやりたかっただけでは)


STAEDTLER 925 35-03 0.3mm


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鉛筆を開発したことで有名なドイツの世界的メーカー ステッドラー

もともと鉛筆はステッドラー製のものを使っていたけど、
最近、鉛筆以外でもステッドラー製品がお気に入りで、
仲間になりたそうな目でこっちを見ていたので、
他のペン買うついでにカゴに入っていたペン。


グラフギア1000との違いは
サイズが少し短く、少し重心がペン先側にあること。
そして、グリップ部分の滑り止めがすごく細かく手が滑らない。

気になる点は、思ったよりワンノックで芯が出ること。
ペン先から出る芯の長さを細かく調整しながら書く人は
少し使いにくいかもしれないけど、

一方で、気にならない人はワンノックでたくさん芯が出て使いやすい、
と思うのかも。


ステッドラーのシャーペンで有名なのは
芯送りの長さを調節できる 925 85(REG)モデルだけど、
これが2014年に廃盤になってしまって、
この 925 35 では、芯送り以外は気にいってるから、
いずれ 925 85 も欲しいなぁ …(こうしてより深い沼へ)。

ちなみに、925シリーズにもたくさんあって、
さっきの 85 モデルとか、25モデル(通称:シルバーシリーズ)とか、
安価な 65 モデルとか…
この 35 モデルはシルバーシリーズの特別カラー(Night Blue かっこいい…)。


値段は、
メーカー希望小売価格は1,200円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは900円弱で購入できる。


総評

“王道にして頂点”



ボールペン

お気に入りは2つ。
とは言っても、どちらも芯をリフィルしてるので
実質「気に入った芯1つ+気に入ったボディ2つ」みたいな感じ。

LAMY safari ボールペン


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安価なのに一生愛用できるくらい素晴らしい書き心地のペンで有名な
ドイツの世界的メーカー ラミー。

おそらく、
ラミー サファリで万年筆を初めて使ったよ、って人は相当多いはず。
それくらい有名。
かく言う私もね、2本持っていますよ(沼)。

今回は万年筆じゃなくて、ボールペンでの紹介。
もともと児童が正しいペンの持ち方を覚えるようにデザインされた
ボディや三角形のグリップが、まーそれはそれは持ちやすい。

あと、細かいことだけどこの大型のクリップが
胸ポケットとかにサッと挿しやすいとこも好き。


サファリのラインナップは
・万年筆(キャップ式)
ローラーボールペン(キャップ式)
・ボールペン(ノック式) と、3種類あって

キャップ式は それはそれで見た目がよく、佇まいがいいし
とは言え、ノック式の書くまでのアクセスの速さも捨てがたい。

これは今だに悩むんだけど(両方持ってるんだけど、沼微笑)、
結局、ノック式を使っている。

理由としては、
書くまでのアクセスの速さもそうなんだけど
ノック音が良いから(ズコー)。


芯はジェットストリーム 0.5mm芯(型番:SXR-200 05)で、
やっぱこの芯が最高だと思う。

ラミー純正のインク粘度が高い芯も悪くはないけど、
書き出しのかすれや書き心地を考えると、
ジェットストリーム芯のインク粘度の低いほうがやっぱ好き
(裏写りを考慮する場合は高粘度インクのほうがいいらしい)。


リフィルする方法は、自分で改造など色々あるけど
Unus Product Service社の BA-LM-16 というアダプターを使用。

そして、ボディの色に合わせて芯の色も揃えて
悦に入っている。

と、言っても
今、普段使いしているのは赤色だけだから
いずれ青色が欲しいなぁ(笑顔で沼にズブズブしながら) 。


値段は、
メーカー希望小売価格は2,500円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは1,500円強で購入できる。


総評

“大人も子供も、おねーさんもサファリ。”


LAMY 2000 L401


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はい、でました。
ライフハッカーや意識高い系の方々に人気な Lamy 2000。

その4色ボールペン(黒・赤・青・緑)です。
主に、手帳に挿しっぱなしにして使っている。

型名の 2000 は
「2000年になっても使えるくらい洗練されたデザイン」
って意味(だった気がする)で、
2000年をとうに過ぎた今でも 40年以上世界中で愛用される 1本。

まるで機能美という言葉を体現したかのような、無駄のないフォルム。


機能としては、珍しい「振り子式」の多機能ペン。
出したい色のガイドを上にしてノックすると、その色が出てくる。

この機能のおかげで、
ノック部からペン先までの綺麗な流線型のフォルムができあがっている。

一見すると木製にも見える高級感あるボディは
その実、プラスチック製なのでペン自体も重すぎず、
多機能ペンなのに比較的細身。


いやー、これは本当にお気に入り。
握り心地や重さ、機能性、デザインどれも非の打ち所なし。
星みっつ!(マチャアキ風)

強いて言うなら、グリップに溝やラバーなどがないので
手汗を書く人は滑りやすいのかなぁ、とも思うけど
このペンを前にしてグリップなんてナンセンスともまた思う。

芯はジェットストリーム芯(型番:SXR-80 05)の
黒・赤・青色をリフィル。
これは改造やアダプター無しでも、そのままリフィルできる。
緑はジェットストリーム芯に無いので、純正を使用。


値段は、
メーカー希望小売価格は12,000円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは6,000円弱で購入できる。


総評

”過去からやって来た未来の完成形”


万年筆

所謂、定番・王道・有名な2本。
それでいて対照的な2本。

LAMY safari 万年筆


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はい、出ました。定番中の定番。
だから、逆に書くこと無い。

グリップは、
ボールペンやローラーボールとは異なり、
三角形の中指が当たる底辺が丸くなった形で、これはこれでよいもの。

高価で大人なイメージのある万年筆の中でも
かなり安価で若い人にも親しみやすいデザインの1本。


個人的なこだわりや好みは、
コンバーターを使い、経済的にすること、
ボディ色はスケルトンでインク残量を見やすくすること、
ニブ(ペン先)はEF(極細)。


インクは、純正でなく iroshizuku <色彩雫>シリーズ
「竹炭(黒)」、「露草(青)」を使用、
このシリーズは容器がすごい綺麗だから集めたい。

色のレパートリーが豊富で、綺麗な色多いから
お気に入りの黒・赤・青 各色を見つけて
ボールペンみたいにボディと色揃えたら楽しそう
(肩までしっかり沼に浸かりながら)。


ボールペンとの差別化は、
字しか書かないノートに帯同させること
(図や絵を描く時はボールペンを使う)、
裏写りしやすい紙には使わないこと。

そもそも書ける線がぜんぜん違うんだから
明確な差別化とか考えず、気分で使い分けてもいいと思う。


値段は、
メーカー希望小売価格は4,000円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは3,000円弱で購入できる。


総評

”サリー!サファリは大人の「扉」を開ける最高の「インク」だぜ!”


CARAN d'ACHE ECRIDOR Chevron Silver 万年筆


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スイスの高級筆記具メーカー カランダッシュ
万年筆エクリドールシリーズのシェブロンというモデル。


これはとても書き味がなめらか。
ニブがFということを考慮しても、safariより数段上の書き心地。
ちなみに、一番細いニブでもFだから、EFの細さが好きって人は注意。


万年筆には珍しく六角形のボディをしている。
これは、「CARAN d'ACHE」がロシア語で「鉛筆」って意味だったり、
元が鉛筆のメーカーとしての、こだわりやシンボルだったりするらしい。
いずれにせよ、持ちやすいし疲れにくい。


ニブの細かな溝やボディの洗練された彫金模様など、
あぁ、なんて上品で優雅で
それでいて華美過ぎずシンプルな美しさの万年筆なんだろう…
という所有感が嬉しくもあり、

普段から持ち歩いていて、落として壊したらどうしよう…
みたいなアレもある。

いま使っているネイビーの手帳カバーに挿すと、
それは、それは…もう…
溜息が出るほどフォトジェニックな佇まいになるんだけど、
いかんせん壊れたら、と気が気じゃない点もあるので、
主に気合を入れた宛名書きや一筆に使用して、
手帳には Lamy 2000 挿してる。


ペンは使ってなんぼ、
ただ飾るために持つくらいなら、最初から持たない
…くらい普段は思ってるんだけど、
これは少し使うのに気が引けてる感否めない。
その分、使うとその書きやすさに吃驚するんだけど。

いつかこのペンが似合う人間になりたいものです。


値段は、
メーカー希望小売価格は31,000円(税抜き)、
某有名通販サイトなどでは20,000円強で購入できます。


総評

”機能とデザイン、歴史と洗練、優雅とシンプルの永世中立


まだまだ、
ノート部門とか定規部門とか、色・蛍光ペン部門とかやりたいけど、
ちょっと長いからね、また今度にしよう
(クソダサキャッチコピーのネタが尽き気味)

ただ、
ノート部門とか手帳部門は荒れそー。